moss frame project

壁面苔緑化プロジェクトです。

屋外での壁面緑化は、先駆者でもあるパトリックブランの影響で日本の商業施設などで多く見られるようになってきました。苔を使用した壁面緑化については現時点では殆ど施工事例が無いと思います。理由としては大きく3点あります。

1点目は施工環境が直射日光が当たらない場所が好適である。2点目は水分の与え方。

3点目は苔の固定方法。水分の与え方と固定方法については技術的にクリアすることができるのですが、施工環境については如何ともし難い点です。

日向向きの苔を使用すれば良いと考えられますが、水分の与え方と固定方法で問題が起こり長期間で見るとうまくいきません。

今回の現場は半地下になっており、直射日光が当たらず適度に明るく苔壁面緑化にとって良い環境です。お施主様の要望は、相馬正和氏のアートパネルを引き立てる様な装飾を行って欲しいとのことでした。

 

 

今回のプロジェクトで表現したいことを下記のメッセージでお施主様にお伝えさせて頂きました。

 

「苔は凡そ4億年前に、初めて陸上に進出した植物と言われています。岩石の大地に苔が進出し、幾年月を重ね世代交代を繰り返しやがて土壌を形成しました。焼物の素材となる土、土を形成してきた苔。苔から土へ繋がるフレームがデザインコンセプトです」

 

フレームはコンクリート壁面に合う様、ステンレス(ヘアライン仕上げ)で組ませてもらいました。既存のスポットライトは暖色であったので、この時点で白色LEDに交換して頂きました。

 

施工から半年経過した状況は生育も良好で、定期的に軽度のメンテナンスを実施させて頂く程度で済んでおります。

 

春先には胞子体を付ける苔や、最初に植栽していない苔などが生えてきており1×3.5mのフレームの中で新たな生態系が出来上がってきているのを感じます。良い意味でコントロールの外にあります。